■メーカー名日産■車名ブルーバード■グレード1200DELUX■年式昭和36年式■走行距離69000キロ実走行■車検有効期限20年7月■ボディタイプ4ドアセダン■色純正ホワイト/ブルーツートン■修復歴なし■整備記録簿昭和38年1月~平成18年7月まで、途中欠けあるものの、全部で54枚にも及ぶ記録簿群。■所有者履歴 ワンオーナー■ミッションコラム4速■排気量1200cc ガソリン■乗車定員5人乗名■型式P311■装備 このP311初代ブルーバードは、中古車業者オークションで出会い入庫した。つまりセリ落とした。オークション当日他にも珍しい旧車、絶版車が出品されているにもかかわらず、この車だけに、もう釘付けになってしまったのだ。惚れてはいけない!商品に惚れることは、商売人としてのセオリー。ただ、、惚れすぎは禁物。正当な評価以上に評価してしまうようでは旧車査定はできないのである。 しかしこのP311は違った。オーラを見るわけではないのだが、この車から昇り立つ何かを感じる。上辺だけのきれいさ。見せるために磨き上げた状態の車達は今まで散々見てきている。そこにはそれとは全く異質の・・・元のオーナーさんの情念のようなものを感ぜずにはいられなかった。その思いは、当店に入庫してますます深まることになる。車体下回りの撮影をするために、リフトアップした際などは「????」旧車屋@親父、、考え込んでしまった。「きれいすぎる!?」これが1~2年落ちの現行中古車ならわかるよ。46年も前の車。しかも今の車とは違って、樹脂だのプラスチックだのいかにも安く綺麗にデコレーションする素材など、一切使っていないのだ。つまり鉄の塊鉄など一夜にして錆びるものなのだ。 レストアだの仕上げだのしてきてそこにデンと置かれた感じとは全く違う。板金塗装して綺麗になったものではなく、、磨き上げた綺麗さ。正直、今までこういう状態は見たことがない。ここまで磨き上げるのだろうか?綺麗さを通り越して、謎は深まるばかり。54枚の記録簿を紐解いていく。ここから妄想するしか手立てがないから。業者オークションにおいて、出品店(売り手)と成約店(買い手、、つまり当店)が顔を合わせることはない。つまりコミニュケーションによる情報収集はお互い知り合いか何かでない限り有り得ない。新車から同一の所有者。それは昭和38年の記録から平成18年までの記録である。このことから表記も1オーナーとした。う~~~~~ん この車のことが、もっと深く知りたくなった。もちろん前オーナーの住所もわかるのだから、調べて訪ねることも出来なくない。しかし それはタブーである。この車の話しが聞きたい・・と強く思っていたら、、、想念は時として現象を起こす。出品店の自動車屋さんから電話が来たのだ!この車の部品が残っているからお会いしたいとのこと。先方も当店に入庫したのを調べて知ったのだろう。 以下、その車屋さんが語ったP311と前オーナーさんについてだ。◆前オーナーは、この車屋さんの先代社長からのお客様である。◆車庫の都合上、一度登録し直している。◆雨の日は、一切乗らなかった。◆車検を受けに車検場に行くのにも、雨の日はキャンセル。◆車検整備の日は、お弁当を持って整備するのを見学した。◆後年、一番の遠出は車検受ける時の車検場であった。◆新車でおろしてから、昼夜野外に駐車することは、たったの3回しかなかった。◆ディーラーの言うとおりに、部品を買い集めて交換する必要のない物も交換した。◆下回りは、オーナー自ら潜って徹底的に清掃した。◆そして前オーナーさんは御存命で、ご高齢のためクラッチを踏めなくなったので、 この車屋さんが預かることになった。預かったものの、そうそう動かすこともまま ならず、最期は前オーナーと話し合いのもと、手放すこととなった。以上、、この話は私自身でなく、当店のスタッフが聞いてきたものなので、少し食い違いが生じるかも知れない。しかし、いずれにしても 謎が解けた思いだ。そして感動した。旧車屋としては、売ってなんぼ。でも、無理して売る車でないことが良くわかった。先日も投資目的での購入希望があったが、丁重にお断りした。この人なら大丈夫!と思える新しいオーナーが現れるまでは、当店の看板車として大切に乗り続けよう。最期に、私の仲間であるスピリチュアルな印刷屋さんの言葉を記しておく。ちなみに彼は一度も現車を見ていない。当店のメルマガとページしか見ていないのだ。「あの初代のブルーバード・・・。 あれ売るの?いやいや売っちゃいけない。ずっと置いておけ。ページから滲み出てくるんだよ。置いておくのに金がかかるのなら、俺が払うから!だから、、置いておけ。」まさに現代の「おいてけ掘り」。こういう出会いも旧車ならではであろう。body,td,th {font-size: 12px;}.g12 {font-size: 12px;color: #7D7D7D;}【 もう二度と出ません! 】久しぶりに鳥肌が立った。けしてブルー「バード」に洒落をかけているわけでも何でもない。ダットサン系列車種の統合と、系譜を一身に受け、次代日産の象徴とし、メーテリンクの童話から「幸せ運ぶ青い鳥」初代ブルーバードが登場したのは、昭和34年8月のことだった。まだまだマイカーなど「夢のまた夢」の時代に、ダットサンから受け継いだ強靭さにより、営業車などで活躍する。 初代は、途中2度に渡るマイナーチェンジで、それぞれ310(サンイチマル)311 (サンイチイチ)312(サンイチニ)に区分され、また、テールレンズの形状から、「柿の種」 「アイロン」などの愛称を持つ。もちろん、車検証上の車名は、「ダットサン」だ!また国産車初となる 女性のためのグレード、 「ファンシーデラックス」も登場。 フルシンクロメッシュ機構や、ダブルウィッシュボーンなどの新メカニズムの採用や、実際に強靭な機関などから、ほぼ同時期に登場したライバル、トヨタ・コロナの失速も重なり、昭和38年9月に登場する次代、410系のバトンを渡すまでの5年間で、確固たる地位を築く。 さて、現車を見てみよう。46年の時を経て、今蘇る「青い鳥」。P311型。書類上からも実証出来る、正真正銘の「ワンオーナー車」。当時の【5】シングルナンバーが、この上無い雰囲気を醸し出している。東京・足立管轄なら、ナンバー継続可能! 過去修復歴もなく、凛然とした佇まいのまま、そしてオリジナル度満点のボディ。光りを放つ「メッキパーツ」。誇らしげな各種「エンブレム」。旧車必須のアイテム「ホワイトリボンタイヤ」。 現代の路上においても、ストレス無く、また遜色の無い走りを見せる機関。 それもそのはず・・・大切にされてきた証は、54枚にも及ぶ整備記録簿が物語る。 とてもこのスペースでは書き綴れない、ため息にも似た美しさと哀愁。「あっ もう生涯出会うことが出来ないだろう」と直感する、P311に・・・今こうして向き合っている恍惚感。これはもう 言葉うんぬんではなく、実車を是非ご覧いただきたい。新型のファミリーカーより安価だが、相場より高価な、この微妙な本体価格の意味が、きっと ご理解いただけると思う。 ブルーバードは、登場より48年の時間を越えてなお、現役で活躍する、日産自動車が誇る「フラッグシッブカー」だ。 もう昭和30年代からの車名は、「ブルーバード」と、プリンス系の「スカイライン」を残すのみとなった。 これからオーナーになる方は、こうして46年間もの間、前オーナーの意思で生き長らえてきた、貴重な文化遺物を動態保存・維持し、 是非、次代へと継承していただき たく思う。 いや~今だ興奮が冷めやらない。 プロとして、惚れてはいけないの だが・・
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